アンテナ?:(最遊記:浄&悟)

「なぁなぁ、悟浄ー」
ぼんやりと外を眺めながらタバコをくゆらす悟浄に悟空が話しかける。
「んあ?なんだ?改まって」
椅子に腰掛ける悟空に悟浄がゆっくりと振り返る。
「・・・あのさ」
言いにくいのか、質問が言いよどむ。
「だからなんだよ?」
めんどくさくも律儀に質問を待つ悟浄。
「んとな・・・」
意を決したように悟空が口を開く。
「悟浄のその髪の毛って、妖怪アンテナになっているって本当か?」
しばしの沈黙。
「・・・ハァ?!」
信じられないものを見るかのような視線で悟空を見つめる悟浄。
「あ、オマエ、今オレを馬鹿だと思ってるだろー?!」
すぐに自分に向けられる視線の意味に気が付き、抗議の声を上げる。
「当然じゃねーかっ!大体お前『妖怪アンテナ』が何か知ってるのかよっ?!」
思ったよりも冷静に適切な突込みを入れる悟浄。
「よくはしらねーけど、近くに妖怪がいると、まっすぐピンと立つんだろ?」
疑わしそうな視線を向けながらも悟浄に自分の持っている知識で対抗してみる悟空。
「オマエそれマジで言ってる?」
あきれ返ったような表情で重ねて疑問を否定する悟浄。
「え?違うの?」
真っ向から重ねて否定され、本気で不安になる悟空。
「あったりまえじゃねーか!それぐらい気づけっ」
咥えていたタバコを指で挟んで口から離すと、悟浄は大きく紫煙を吐き出した。
「・・・えー?じゃあ、それ何に使えるんだよ?」
ちょっとだけ首をかしげた悟空が悟浄に素直な質問をする。
「へ?」
今度は本気で意味不明という顔をする悟浄。
「だぁーかぁーらぁー、妖怪アンテナってやつじゃないんなら、何に使えるんだってんだよっ?!その前髪に2本っ!」
ずいっと悟浄に近づく悟空。
実際につかもうと悟浄の頭に手を伸ばす。
「何にも使えるわけねーだろ?!単なる髪型なんだよっ!これはっ!」
ひょいと避けるとお返しにケリをくれてやる。
「うがー!なにすんだよ!エロガッパ!髪の毛も役立たずだしーっ!」
じたばたと暴れる悟空。
「役立たずとはなんだ、役立たずとは。コレ(髪型)は立派におねーちゃんを口説くのに役立っているぞ。なんてったってかっこいいからな」
フフンと得意げにかっこつける悟浄。
「かっこいいねぇ〜・・・。ふーん」
足を持ち上げながらもジト目で悟浄を見る悟空。
「なんだぁ?その人を馬鹿にしたような目は?」
悟浄もひょいと足を少し上げる。
「だって、妖怪相手にはなんの役にもたたねーじゃねーかっ!」
うりゃ!と悟浄の足を跳ね除ける悟空。
「おわっとっとっとっと。ふん、そんなのには俺様の実力だけで十分なんだよ!余計な能力はいらねーのっ!」
もう、お遊びは終わりだとまた窓際に戻ってタバコに灯をつけなおす。
「ちぇーっ。つまんねーのっ!」
悟空も話が終わったことを悟ったのか、椅子にどっかりと乱暴に腰掛ける。
「・・・ところで、誰からそんな話を聞いた?」
思い出したように話題の発端になった内容の出所を確かめる悟浄。
「・・・八戒」
ちょっといいにくそうだったが、すぐに返事をする悟空。
「あんにゃろめ」


直後、八戒の部屋に抗議の嵐が吹き荒れたのは云うまでもない。
合掌。

FIN

2003 10/30 written by ZIN
1994-2003 MEGA-Company Co.Ltd ALL Right Reserved