32768(八戒&悟浄)




「いよぉ」
リビングに一人でいたところを後ろから肩を引き寄せられる。
少し香水のにおいが残っている。
昨日も女のところにいたのだろう。
「ちょっとだるくてさぁ・・・」
珍しく髪の毛をまとめている。
いつもはうっと惜しいほど綺麗な赤い髪の毛を惜しげもなくさらしたままなのに。
「やっぱ、いいおんなっていうのはなかなかいないものだねぇ」
肩に体重を預け、回した腕に力が掛かる。
珍しく紫のシャツを着ている。
昨日の女の趣味だろうか?
彼はあまり着るものにはこだわらない。
もらえれば、それを着るし、気に入らなければ捨てるだけの話だ。
自分で来ているところをみると、そんなにいやじゃないのかもしれない。
頬を彼の髪の毛が流れる。
縛った髪からこぼれ落ちた残り髪がこそばゆい。
「うーーん、やっぱおまえは抱き心地いいわ」
男に対してそりゃないでしょ。と思いながらも、彼に身を任せる。
意外に紫もこの人には似合うものだと思う。
どうも、紫というと、三蔵を考えてしまうが、元々派手な髪の毛をしているこの人には結構意外な色が似合うのかもしれない。
「ふぅ・・・」
彼は真正面に回り込み、背中に腕を回し、しばしたったまま、僕にすべてを預ける。
こういうときの彼はだいぶ参っているときだ。
なにもいわずに軽く抱きしめ返してやる。
「・・・さんきゅな」
少しの抱擁の後、気を取り直したように彼は肩に手を置き、腕を伸ばした。
「いいえ」
彼の気持ちは解っている。
そして彼も僕の気持ちを・・・

僕たちは二人で生きてきたのだから。

FIN






1999 07/29 wrihted by ZIN
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