Oh My JEEP2(八戒&悟浄)




「しかし、拾ったのはいいけど、どうすんだ?それ」
「え?」
道ばたで白龍を拾った八戒と悟浄は、悟浄の家に戻ってきていた。
とりあえず八戒は気孔で白龍の気の乱れをただし、落ち着かせてから、食べ物を与えていた。
「それって肉食なのか?」
「さぁ」
「さぁって・・・オマエ何も知らないで、飯食わせていたのか?」
八戒は悟浄と自分のご飯を作り、そのついでに白龍のご飯も作ったのだ。
「でも、普通に考えれば、人間よりも知能が高いと言われる龍ですから、食べ物も人間と同じ
モノを食べられるのではないかと思いましてね」
「それで俺たちと一緒な訳ね」
「ええ」
八戒にご飯を食べさせてもらっている白龍はとても嬉しそうに食べていた。
「キュウーーン。クムクム・・・キュム?」
食べているところを見つめられた白龍は悟浄の視線に気がつき、不思議そうな顔をした。
「妬いてます?」
少しだけ意地悪い顔をして、八戒は悟浄の顔をのぞき込む。
「ケッ、バカにするな」
悟浄はそれだけ言って、また食事を始めた。

「ああ!!」
自分もご飯を食べながら、白龍にも食べさせていた八戒は、突然大きな声を上げた。
「ん?どうした?」
すでに大半を食べ終わり、最後のお新香とお茶をすすりながら、悟浄は八戒の突然の叫びに少
しだけ驚いた顔をした。
「すっかり忘れていました。買い物が終わってから、何か買い忘れたモノがあると思っていた
のですが、ようやく思い出したんです」
「で、何を買い忘れたんだ?」
「・・・ゴミ袋です」
悟浄は思いっきり間抜けな顔をする。
「はぁ?」
「ゴミ袋ですよ。非常に大切なモノなのに、忘れてしまいました」
「別に大した問題じゃねぇだろ?」
「いえ、充分重要な問題です。昨日でゴミ袋が切れてしまったんですよ。明日からの貴方のゴ
ミをどうするつもりですか?」
「別にその辺においておけばいいじゃねぇか。特にいつもとかわらんさ」
「ちゃんと、僕の言ったことを覚えていますか?」
「ん?何だっけか?」
「やっぱり覚えていないんですね」
八戒は大きくため息をついた。
やれやれと言った表情の後に、いつものことかと、改めて説明を始めた。
「僕は明日から、姉さんのお墓参りに行くと言っているでしょう?」
「ああ、行くのは覚えていたが、明日だったか」
「まったく、せっかく前もって予定を教えておいても全然意味が無いじゃないですか・・・」
「別に行って来ればいいじゃん」
「・・・その間貴方の作り出したゴミはどうなるのですか?」
「・・・あ!」
「あ!じゃ、ないです。だから、ゴミ袋はむしろ多くてもいいくらいなんです。どうせ、僕が
帰ってくるまで、ゴミなんか出すつもりはないんでしょ?」
「よく解ってるじゃねぇか。で、どうするんだ?」
「仕方ないから、買いに行くしかないですよね」
「ええ?今からか?買いに行くにも、ここから一番近い店まで、30分はかかるぜ?たぶん閉
店ぎりぎりか、しまっている可能性が高いぜ」
「だから困っているんです」
「せっかく拾ったんだから、そいつに乗っていけば?」
皮肉を込めて悟浄は八戒の抱いている白龍を顎で示す。
「悟浄!」
「冗談だよ、さすがにそいつに乗ることは出来ねぇだろ?」
「キューーン?」
「ん?なんですか?・・・え?外?」
八戒は突然外に行こうとした白龍に促されるように外に出た。
「どうしたって言うんでしょう?いきなり外に出たがるなんて・・・」
「腹が膨れたから、ここには用が無くなったんじゃねぇの?」
そんなことを言う悟浄を気にもとめずに八戒は玄関の前で白龍を胸から放つ。
「キューーン・・ブブブーーン」
白龍は身体をふるわせると、八戒と悟浄の前で、機械の乗り物に変身した。
「オイオイ・・・」
さすがの悟浄もこれには驚いたようだ。
「これはいったい・・・」
いつもは何が起きても動じない八戒であったが、目の前で動物が鉄の乗り物に変身するとは思
っていなかったらしく、同様を隠せない。
「たしか、昔よった街で見たことがある。ジープとかいう、鉄の乗り物だ。もう、現存する物
は無いという話だったが・・・」
「ジープ・・・イイ名前ですね、貴方の名前はジープにしましょう」
八戒は鉄の乗り物となった白龍にそう名付け、ボンネットの上に手を置いて語りかけた。
ブオオオオーーン!!
その名前が気に入ったのか、ジープと名付けられた白龍は大きなエンジンのうねりをあげた。
「さて、買い物に行きましょうか?」
八戒はにっこりと悟浄を振り向き、目的の場所へと誘った。
「あぁ?俺はイイよ、めんどくせぇ」
悟浄は言うとドアの方に帰っていこうとした。
「当然行くんですよ!!自分でジープに乗っていけば?って、提案したんでしょ!」
八戒は悟浄の首根っこをつかむと、強引に投げ込むように助手席に座らせ、問答無用で運転を
始めた。
「おいおい、運転なんてできるのか?」
「感覚ですよ、こんなものは」
「ひええええぇぇぇ・・・」
派手なエンジン音と共に、悟浄の悲鳴が夜の郊外に響きわたっていた。

FIN








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