買い物verM(八戒&悟浄)




「おいおい、待ってくれよ」
八戒が買い物に出かけるときに不用意な発言をしてしまい、怒らせてしまった悟浄はその機嫌
の悪い八戒に買い物につきあわされていた。
しかも、いつになく八戒は機嫌が悪いらしく、一言も口を利かずにどんどん早足で先に行って
しまう。
「おいおい、そんなに早く歩かなくても、市場は逃げないぜ」
それでも、八戒はその言葉が聞こえていないようなそぶりで先を急ぐ。
「なぁってば!」
いいかげんに一人でしゃべっているのに疲れたのか、反応のない八戒に業を煮やし、後ろから
、肩に手を回し、悟浄は有無を言わせずに抱きついた。
「なにそんなに怒っているんだ?俺が女の話をするのはめずらしい事じゃないだろ?二人で暮
らしていたときだって、そんなに怒ったことはなかったじゃねぇか。なにを今更そんなに怒る
必要があるんだよ?」
それでも先に歩こうとする八戒を半ば無理矢理押さえつけ、悟浄は無理矢理自分の方に八戒の
顔を向かせる。
その八戒の顔を見て、悟浄は驚いた。
泣きそうな顔をしていたのだ。
「おまえ・・・」
「だって最近全然かまってくれないじゃありませんか」
「は?」
「二人の時はそれでも二人の時間があったのに、旅を始めてからほとんど二人の時間なんて無
いんですよ、それなのに、せっかくの夜のひとときをほかの女と過ごすなんて・・・」
半分泣きべそをかきながら、八戒は悟浄に涙ながらに訴える。
さすがの悟浄も、さっきまでものすごい勢いで自分を呼び捨てにしていた相手にいきなり泣き
つかれたのでは、面食らってしまった。
いくら人気がないとはいえ、町中の通り。すれ違う人々の目が男同士で痴話喧嘩をしている二
人を見て、奇異のまなざしを向ける。
「おい、八戒、いくら何でもここで泣き出す奴はないだろう?」
普段は女の涙になれている悟浄も、本命の相手にいきなり泣かれたのではどうしようもないら
しい。
「だって・・・」
もう、すでに八戒はだだっ子状態であった。
それほどまでに何か追いつめられるものがあったのだろう・・・
悟浄はこんな状態になるまでほおっておいた自分を悔やんでいた。
「わかった。今日は、奴らはほおっておいて、デートだ」
「?」
八戒は突然の悟浄の提案にきょとんとした顔をする。
「だぁかぁら、デートするぞっていってんだよ。今日一日、どこでもつきあってやるから、い
い加減泣きやめ」
「は・・・い」
八戒はまだ涙を浮かべながらも、うなずいていた。
その涙はすでに悲しみの涙ではなく、うれし涙だったのかもしれない。

FIN





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