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眠り姫が起こしてほしい人

「ほら、悟浄、起きてください」
いつも、悟浄は寝起きが悪いが、今日の悪さは普段よりも数段たちが悪かった。
「ん〜、あぁ・・・おきるよ・・・」
と言ったまま、眠りに入ってしまうのだ。
「困った人ですねぇ」
八戒もいい加減困り果てていた。
もう、1時間近くもこういう状態なのだ。
昨日は確かに悟浄の帰りは遅かった。
それはいつものことだし、別段珍しいことではない。
酒に酔った?
そんな、今更酒に飲まれるほど、この人が酒に弱いはずはない。
八戒にかなわないのは当然としてもだ。
「う〜〜〜〜〜ん・・・」
ひょっとして?
ぴんときた八戒は、悟浄の顔に近づき、軽くキスをした。
「おはよう、悟浄」
「ああ、おはよう」
そう、悟浄は起きていたのだ。
そして、八戒のおはようのキスを待っていた。
つまるところ・・・だだをこねていただけだったのだ。
「ごじょお〜・・・?」
八戒の声にドスが利いているのを感じ取り、顔が思わず引きつる悟浄。
「だって、ここのところ、あいつらの世話までおまえがやっているから、二人ですんでいた頃
みたいな関係が無くなっているじゃん?ちょっとはそういう雰囲気が欲しいとおもわん?」
「はいはい、わかりましたから、さっさと起きて、着替えてください。ご飯はできているんで
すから、さめちゃってますよ」
そんな悟浄の言い分に全く取り合わず、部屋から叩き出す八戒。
「いやーん、八戒のいけず〜」
ぶつぶつ言いながらも、部屋を出ていく悟浄。
悟浄を部屋から送り出した後、八戒は部屋で一人つぶやいた。
「雰囲気はほしがるだけではないんですよ。作らなきゃね」
軽くベッドを直すと八戒も食卓へと部屋を出ていった。
今日もさわやかな風がだれもいない部屋を駆け抜ける。
いい天気になりそうだ。

FIN
2000 03/20 written by ZIN
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