RUN(八戒&悟浄)




「よぉ」
相変わらずこの人は何の断りもなく僕の隣に座る。
さも当然のように。
そして、僕がすわないのを知っていながら、タバコをおもむろに吸い始める。
「今朝も早くからあの猿がよぉ・・・」
そしていつものようにとりとめのない話を始める。
僕が彼とであったのはもうどれくらい前だっただろうか・・
確かに衝撃的な出会いだったに違いない。
状況がそれを物語っている。
しかし、彼にとっては状況はどうでもよかったらしい。
これは後に聞いた話だが、この時代ではさほど珍しくない話だそうだ。
倒れた僕を拾ってくれた彼は、何も言わずに看病してくれた。
なにも聞かず、なにも疑わず、自然にこの人といられるようになったのはいつからだろうか?
なにもないところから始まり、多くの体験をともにしてきた。
それは、ただ一緒に住んでいたからだけではないと思う。
一緒にいること。
一緒に過ごすこと。
同じ感情をともにすること。
喜怒哀楽をともにすること。
長く一緒にいるというのはおかしなモノで、僕にとってはすべてだった人が、すでに全てではなくなってしまっている。
だんだんと・・・
たった一人の肉親を失ったことよりも、今この人と一緒にいたいと思う感情の方が優先になってきていた。
長い間一緒に暮らしすぎたからなのか?
同じ時を過ごしたからなのか?
いや、そんなモノではないだろう。
ここまで走り続けてきた。
この人と一緒に。
真剣に・・
時には冗談を飛ばしながら・・・
見るモノ全てをともにして・・・
なかなかこんな相手に巡り会えることはないだろう。
僕はこれからも走り続けていくのだろう
つらい坂を上りながら・・・
喜びを分かち合いながら・・・

この人とともに・・・

「ずっと一緒にいてくださいね」
「あぁ?・・・おう」

FIN






1999 04/18 wrihted by ZIN
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