戦闘準備(天蓬&捲簾)





「おーい、天蓬さん?」
コンコンと、普段常にあけっぱなしになってしまっている天蓬の部屋に入ってから、ドアの
内側をノックし、捲連は部屋に入った。
「はい?」
相変わらず、部屋の中には堆く積み上げられた本、そしてその中に埋もれている天蓬の姿が
あった。
「はい?じゃねーだろよぉ。相変わらず、2〜3日であっと言うまだな、これじゃいくら片
づけてもしょうがないんじゃねぇのか?」
「いや、そうでもないですよ。捲簾が片づけてくださるおかげで、大分書物を読むペースが
あがりましたから」
「それは俺は喜んでいいのかねぇ?」
「いいと思いますよ」
皮肉を込めたはずの捲簾の言葉をあっさりと交わす。
「だって、これでますます私の作戦の幅が広がりますから。もちろん、戦術的にも応用がた
くさん利きますし」
「イヤ、そういうことじゃなくて・・・」
だんだん、また難しい話に持って行かれそうな予感がして、捲簾は元々話にきた内容に話を
戻すことで、話題を切り替えた。
「で、今日はどうしたんですか?」
と、話を切り替えようとした矢先に先手を打たれる。
「・・・オマエさん読心術か何かやってない?」
「また訳のわからないことを・・・それで、どうしたんですか?」
「ああ・・・例の金蝉のトコのお猿さんが偉い喜びようで、廊下をはね回っていたけど、ど
うしたんだ?」
「あれはね、ちょっとしたおまじないを教えてあげたんですよ」
「呪いの?」
「怒りますよ」
「ごめん」
「わかればいいです。それで、悟空ですが、誕生日というものを知らなかった様なので、そ
れがなんなのかを教えて差し上げたんです。そうしたら、たまたまこの間が金蝉の誕生日だ
ったので、はしゃいじゃっているんです」
「へぇ?金蝉を一緒に祝ったのか?」
多少ぶぜんとした顔で捲簾は。天蓬の顔をのぞき込む。
「妬いているんですか?」
相変わらずのストレートな物言い。
「そんなんじゃねぇけどさ。まぁ、別に俺は金蝉の誕生日なんか、どうでもイイや。とりあ
えず、廊下をうるさい奴がはしゃぎ回っていたのが気になったから、何か知っているかと思
って寄ってみただけさ。読書中おじゃましたな。わりぃ」
そういって、捲簾は去っていった。
捲簾がいる間ずっと手に持っていた書物をパタンと閉じると、天蓬は「ふぅ」とため息をつ
いた。
「まったく、感がいいんだか良くないんだか・・・」
胸から万年筆を取り出し、指でもてあそびながら、天蓬は窓の外を見た。
「次の戦闘では、絶対に負けないようにしなくては・・・」
また次の新しい書物を手に取り、さらに本の中に埋もれていった。

FIN






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