見詰めた天井と煙草の紫煙(悟浄)




最近少し思うことがある・・・
悟浄は一通り夜の遊びをこなしてきた後にベッドに寝転んだ。
八戒に「寝煙草はいけません」といわれていたが,そんなことは気にする悟浄ではなかった。
「ふぅ・・・」
もう一つ大きな溜息をつき,煙草の煙を深く吸いこみ,そして吐き出した。
咥え煙草のまま、両手を頭の後ろに組み,ベッドに寝転んだ悟浄はしばしの間自分の吐き出
した煙の行方を見詰めていたが,再び考え事を再開した。
一通り遊んだところでなにも得られない。
夜の街はそれなりに自分を癒してくれたはずだったのだが,最近は本当になにも得られなく
なってきてしまった。
昔はベッドに寝転べば,自分の身体の上を通り過ぎていく女はくさるほどいた。
自分から声をかけなくても、適当な言葉を書けておけば,女は嬉しそうに悲鳴をあげていっ
た。
ソレで十分に自分は満たされていたと思っていた。
それが・・・
やつと一緒に暮らし始めてから、それは大分変わっていた。
いまでも,女と身体を重ねる事は十分具合がイイ。
それはソレで男として十分に気持ちの良い事だと思う。
それでも、ヤツと一緒に暮らし始めてから,身体の具合はともかくとして,意識的に相手が
女であるかどうかは問題で無くなってきていた。
自分の幸せを満たしてくれるのは,相手の性別が問題ではなく,相手の存在が問題であるこ
とを、ヤツと暮らし始めてからようやく気が付き始めた。
それは,今日のようにヤツが出払っているときに,夜の街に久し振りに繰り出すと,余計に
身にしみる。
自分が寂しさを癒したがっている。
人との温もりを自分が求めている。
一人で暮らしているときには気が付かなかったか感情・・・
それはヤツを拾ってから感じた感情。
それを気が付かせてくれただけでも,俺はヤツに感謝しよう。
そう、今日はヤツは隣りにいない。
それでもやつを思うだけで幸せになれる。
今日は身体は満たされた。
後は・・・

悟浄はそのまま深い眠りについた。
直前に八戒の言葉を思い出し,煙草をきちんと消す事も、習慣として身についた。
自分はあいつと共にある。
それはヤツも同じ。
その事を考えれば,自分は幸せになれる。
おやすみ・・・
おやすみ、八戒・・・

FIN






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