おかえりはこちら(悟空&天蓬)





「ねぇねぇ、天ちゃん」
まだ仕事が残っていると言う金蝉を残し、執務室をでたところで、悟空は天蓬に声をかけてきた。
「はい?何でしょうか?」
天蓬は、悟空という存在をまだよくわかっていない。
悟空の方は、それほど悩まないようであるが、天蓬は、基本的に疑ってかかるのが癖になって
いるようだ。
「えっとねぇ、いつもあの部屋でなにをやっていたの?」
「!!??」
ちょっとだけ驚いた表情を見せた天蓬であったが、悟空に他意はないらしい。
別にやましいことをしているわけではないが、確かにほかの神々に聞かれては困ることを多少
しているのは事実だったので、どういう風に答えるべきか、天蓬は、少し迷った。
「そうですねぇ。結構難しいことをはなしていますよ」
廊下を歩きながら、見上げる悟空に対して、天蓬は、優しい表情を向ける。
「難しいこと?」
天蓬と同じ事しか言えない悟空が自分の話を難しいと思ったのか、話を少し具体的にしてみる。
「悟空はここに来て、どのくらいになりますか?」
「一月ぐらいかな?」
「じゃあ、まだ、あまり金蝉のことはよく知らないですね。簡単に言うと、金蝉は、ここにす
んでいる人たちの中で、いいとか、悪いとかという判断をしているんですよ。その判断で、少
し判断材料がほしいときに、僕と相談するんです。」
ちょっと天蓬から視線をはずして、悟空は腕を組んで考え込む。
「金蝉って、自分だけで仕事をしているんじゃないのかぁ。天ちゃんも手伝っていたんだな」
「ええ、そうです。」
少しわかったような表情になり、悟空はしばらく無言のまま進む。
廊下を突き当たり、少し曲がる。
直接金蝉の執務室がみられないように建物自体が工夫されている。
悟空は出口の近くまで来たところで、また天蓬に声をかけた。
「金蝉とはずっと一緒なのか?」
「ええ、もうだいぶたちますよ。ちょっと色々あってね。」
「いろいろ?」
「ええ」
「なにがあったんだ?」
「・・・」
「ねぇねぇ」
「・・・それは、ひみつです」
「ええーーーー!!」
「僕が話をしてもいいですけど、金蝉が聞かせたくないこともあるかもしれませんからね。本
当に聞きたいのであれば、金蝉に聞く事です」
「そういうものなのかなぁ?」
「そういうものです」
納得行かない顔をしながらも、門から外にはでられない悟空はそこで話を終わらせるしかなか
った。
「またくる?」
「ええ、もちろんですよ。それまでに、金蝉の仕事場を片づけておいてくださいね。片づける
のは大変だったんですから」
「おれはかんけいないもんね!!」
そういうと、悟空はきびすを返し、庁舎の中へと戻っていった。
この後金蝉に聞きまくるのは必然だろう。
その後ろ姿をみながら、天蓬は、これからの金蝉を想像し、苦笑した。
そして、自分の持ち場へと戻っていく。
そう、自分を待つ人がいる場所へ・・・

FIN






1999 07/20 written by ZIN
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