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おめでとう!(八戒&悟空)


「ん・・・これ」
「はい?なんでしょう?」
おもむろに自分の部屋に現れた悟空の突然の訪問に多少驚きながらも、八戒
は部屋の中に招き入れた。
しばらく部屋の中のいすに座り、中央にぶら下がる電灯の陰に表情を隠しな
がら、うつむいていた悟空は、ようやくその手に持った物を差し出したので
あった。
「誕生日プレゼント」
「・・・え?ああ、そんなコトもありましたネェ」
あははと、いつもの笑いであるが、その表情の奥に多少の寂しさを感じたの
は悟空の思いすぎだろうか・・・
おそらくはその昔、何度も花喃と祝ったであろうその日をもう幸せに迎える
ことはないのだ。
「これ・・・」
手に持った包みを多少強引に八戒の手に渡す。
「そんなに気を使っていただかなくてもいいんですけどねぇ・・・あけても
いいですか?」
その言葉に悟空はこくりとうなずく。
「何でしょうか・・」
その箱の中には小さな止めピンが数個。
思ったよりもセンスのいい物だ。
「どぉ?」
おずおずと八戒の顔をのぞき込む。
「素敵ですね、ありがとう、悟空」
にっこりとほほえむ八戒の顔を確認すると、ようやく悟空は肩の力を抜いた。
「ふぅ・・・緊張したぁ」
いすに完全に体重を預け、もたれかかる。
「誕生日プレゼントでそんなに緊張することもないでしょうに」
苦笑しながら八戒が紅茶を差し出すと、悟空はこくこくとそれを飲む。
「滅多に人に物なんて上げたこと無いからさぁ、困るんだよ。趣味悪いと思
われるのヤダし」
「それは確かにそうですね。でも、やっぱり気持ちのある物をもらうのは嬉
しいですよ。悟空、ありがとうございます」
「うん、喜んでもらえれば、それが一番イイや!」
悟空の笑顔を見て、思わず八戒の表情もゆるむ。
「お礼にご飯でも作りましょうか」
「え?マジ?やったぁ!」
「さて、台所で待っていて下さいね」
「うん!」

ぱたぱたと廊下をかけてゆく音が響いた。

FIN

2000 10/03 written by ZIN
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