力の元(悟空)




ふと上を見上げてみる。
前世なんて結局関係ないなって思いながら、俺は一番前世を引きずっている。
菩薩の懐刀
天界きっての天才軍師
戦歴に負けなしの無敵大将
そして・・・青天大聖
この金冠がある限り、俺は俺でいられる。
だけど・・・もしはずれたら?
もしはずしたら?
俺は本当の力を取り戻し、正気を失う。
前世・・・正確には俺だけ違うんだよな
俺だけ現世・・・
正気を失って大乱を起こした罪で石牢に閉じこめられて500年
金冠をつけられてから、千年近くになる。
俺は本当にこのままでいいのかな?
八戒はそのままでいいと言ってくれたけど。
悟浄はよけいなことを考えるなって。
三蔵は・・・なにも答えてくれなかったけれど、たぶんわかってくれている。
やっぱり考えるのは苦手だな。
結局そこに行き着く。
前だけを向いて生きていく。
自分のためにいきる。
大切な人を悲しませないために、なによりも自分が自分であるために。
反省は必要だけど、後悔はいらない。
失敗はあるけれど、無駄じゃない。
俺には奴らがいる。
そして天界に俺を待っているやつがいる。
500年の間に、その姿さえも記憶から消えてしまったけれど、そいつは確かに天界にいるんだ。
俺を必要としてくれる人がいる限り、どんなにつらくても俺は前を向いて進む。
後ろは振り返らない。
自分のために。
大切な人のために。


FIN






1999 12/19 wrihted by ZIN
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