忘れていた感覚(三蔵&悟空)




「誕生日おめでと!」
「ん?、ああ、そうか、すっかり忘れていた」
「ええ?そういうもんなのか?もっと誕生日は大切にするもんだって、こないだこの寺の誰か
が言っていたぞ」
「全くよけいなことを・・・」
「ん?何か言ったか?」
「いや・・」
「でさぁ、なんか誕生日にはモノをあげるんだって?」
「そうだな、一般的にはそういう風潮があるらしいが・・・」
「やっぱりそうなんだ・・・」
「ん?どうした?」
「いやね、なにかあげようと思っていたんだけど、俺、金とか持っていないし、どうしようも
ないなって、思ったからさ」
「別にいいんじゃないか?そういうのは気持ちの問題だと、オマエに誕生日というモノを教え
たやつは言わなかったのか?」
「ううん、だって、教えてもらったんじゃなくて、ちょっと遊んでいるときに奴らが話してい
るのを聞いただけだから。んで、そいつのところに行って、三蔵の誕生日を聞き出したんだ」
「俺の誕生日なんぞ知って、何が嬉しいんだか・・・」
「ええ?だって、俺三蔵にここにつれてきてもらってから、ほとんど何も教えてもらってない
んだぜ。今回の誕生日だって、俺が聞いて来なきゃ、自分だって忘れていたじゃないか」
「俺は別にかまわん。大した問題ではないからな。で、まだ何か用があるのか?」
「ん?ああ、で、金とか持ってないから、とりあえず、仕事中でもつまめそうな、うまい木の
実と、それを入れる小物入れを作ってみたんだ。もらってくれるか?」
「・・・受け取ってやるから、そこにおいておけ」
「わかった。じゃあ、ここにおいておくね。んで、俺外に行って来るよ。あんましここにいる
と、寺の連中がうるさいし」
「ああ、わかった。あんまし派手に暴れるなよ」
「うん、わかってる。んじゃ」

「・・・行ったか・・・カリッ」
「・・・あの猿もいろいろ考えるようになったんだな。人にモノをもらうなんて、何年ぶりだ
ろうか、本人も誕生日なんて忘れていたのに・・・」
「さて、もう一仕事したら、夕飯時だな。あの猿を迎えに行ってやるとするか」

FIN






1999 11/29 wrihted by ZIN
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