二人の誕生日会(八戒&悟浄)





「お誕生日はなんのプレゼントがいいですか?」
八戒は11月9日の朝、ご飯を作りながら、眠たそうな悟浄に話しかけた。
ここにきてから2回目の悟浄の誕生日、初めての時は、うやむやのうちに終わっていたが、今
年はちゃんと待ちかまえていたのだ。
「なんのって、別に、なにもほしくはないぜ。金は足りているし、飯も十分、オンナにも不自
由してないしな」
「ふぅ、相変わらずですね。ストレートな欲しかでてこないんですか?」
「何の因果でよけいなことを考えねぇといけねぇんだよ?まぁ、後は、オマエがほしいってい
うのもあるけどな」
悟浄が肩をすくめて冗談めかしていう。
「昨日も抱いたくせに・・・」
ぼそっとつぶやく八戒のセリフに悟浄は思わず「やべっ!」と縮こまった。
「で、何かくれるの?オマエのことだから、もう、用意してあるんだろ?」
「ええ、それはもちろん」
といって八戒が出してきたものは、濃い紫色のバンダナであった。
「ナニこれ?」
きょとんとした顔で、悟浄が人差し指で八戒の手で差し出されたバンダナを指さす。
「バンダナですよ」
まんまな反応を返す八戒。
しばし流れる沈黙・・・
「ああ、いえね、結構悟浄の髪の毛ってのびてきたじゃないですか。その調子なら、また前の
ように長くするんですよね?前はひもで後ろに縛っていただけだったから、バンダナでもあれ
ば結構いいんじゃないかと思いまして」
そうして、八戒はバンダナを手にもって、悟浄の後ろに回る。
「つけさせていただいてもよろしいですか?」
「ああ・・・」
悟浄はされるがままになっている。
たしかに長い髪はうっとおしいかもしれない。
でも、今までそんなことを気にしたこともなかったし、特に問題ないと思っていた。
だが、八戒がいうのであれば、そうなのであろう。
「ほら、結構にあいますよ。髪の毛の色が、あまりにも鮮やかな赤だから、むしろ派手目の紫
にしてよかったですね。いつも着ているベストにも合いますし・・・」
鏡に悟浄の姿を映し、自分の目で確認させる。
「お?結構いけてるじゃん」
悟浄もまんざらでもないようだ。
「ふぅ、気に入ってくださってよかったです。なかなかあなたの髪の毛に合う色ってなかった
ので、探したかいがありました」
「ん、さんきゅ」
悟浄はそういって、後ろを振り向き、八戒の頬に軽いキスをした。
「どういたしまして」
八戒もそれに答えるようにキスをする。
「飯でも食うか?」
「そうしましょう。さめちゃいますしね」
連れだって食堂に戻っていく二人はすでに十分な恋人であった。

FIN






1999 11/09 wrihted by ZIN
1994-1999 MEGA-Company Co.Ltd ALL Right Reserved
MEGA-Company本館へ 同人のページへ