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これからも君の笑顔とともに(八戒&悟空)

「たんじょおび♪たっんっじょおび♪」
今日の悟空は誰が見ても本人の周りに音符が見えてきそうなぐらいゴキゲンであった。
4月5日。
悟空の誕生日である。
事の発端は、八戒の
「今日は悟空のお誕生日ですよね。腕によりをかけてごちそうを作りますので、楽しみにし
ていてくださいね」
という言葉であったのだ。
「おい、三蔵、あの馬鹿猿何とかしろよ」
『この料理はなに?』とか、『これはどうやって作るの』など、八戒に一日中まとわりつい
て離れない悟空を見て悟浄がやっかむ。
「知るか、別に何があるわけでもあるまい。放っておけ。どうせよけいなことをすれば、八
戒が何とかするだろ」
さして興味もなさそうに三蔵は相変わらずの抑揚の無い声で返事を返した。
いつも通り、新聞を広げたままである。
「けっ、つまんね〜の。とりあえず夕飯まで時間もあるし、ちっと俺は出かけてくるわ」
悟浄は短くなった煙草を灰皿に押しつけて消すと、つまんなそうに食堂のドアを強めに締め
て遊びに行ってしまった。
「くだらんやつだ」
三蔵も新聞をおいて立ち上がり、自分の部屋へと戻る。
「八戒、今日のソレの管理は任せたぞ」
顎で悟空を指し示し、『ソレ』の意味が何かを明確に指し示すと、三蔵も食堂から出ていっ
てしまった。
「あちゃあ、二人ともですか・・・参っちゃいましたねぇ」
悟浄はともかくとして、三蔵までやきもちを妬くことになるとは思っていなかったのだ。
そんなやりとりを知ってかしらずか相変わらず悟空は八戒の料理に興味を示し、ちょこちょ
こつまみ食いをしていた。
「ん?どしたの?二人ともなんか今日はさっさといなくなって・・・つまんねーの」
悟空は純粋に遊び相手がいなくなってつまらなそうな顔をしている。
この無邪気な顔にどれだけの人間が振り回されてきたのだろう。
いや、性格にはあの男がどれだけ振り回されてきたのか、と言うべきかもしれない。
ふと普段のやりとりを思い出して、思わず苦笑してしまう八戒であった。
「どうしたんだよぉ、八戒までにやにやしちゃってさ。俺の誕生日がそんなにへんな事なの
かな?」
八戒が自分に対して笑っているのだと勘違いした悟空はすねてみせる。
そのすねた顔も十分にかわいいのだろうな。と思いつつ、三蔵の気持ちは報われないままだ
と買いそうな気もする。
「いえ、この場からちょっといなくなった二人のことを考えてしまいまして」
「ふ〜ん・・・」
少し疑いの視線を八戒に向けながら、悟空は八戒が見ていた料理の本をまた見始めた。
分量や細かい指示はよくわからないが、たくさん乗っている写真付きの分厚い本は非常に悟
空の興味を飽きさせないようだ。
常に周りを飽きさせない。
前世も含めて退屈の極みであった三蔵にとって、これほどの興味対象は無かったのだろう。
その気持ちはこの世に生まれ変わったとしても変わることなく、また、これからも強くなっ
ていくものなのだろう。
悟浄と八戒のように。
三蔵は八戒に、悟浄は悟空にやきもちを妬く。
本来有るはずのないやきもちは自分のパートナーをお互いに取られたことに寄るものだ。
自分だっていつも悟空とじゃれ合っているくせに。
八戒は自分がいつも思っている気持ちが少しでも分かってくれればいいなとすこし意地悪な
発想をしてしまった。
「いけませんねぇ。どうしても目には目を的な発想になってしまいます。むしろ私たちと敵
の間ではいいことなんですが、そうともばかりは言ってられませんしね」
ゆるんだエプロンの後ろひもを締め直し、八戒は調理に戻った。
思ったよりも自分の考えに浸ってしまったようだ。
悟空の本を見るページもだいぶ進んでいる。
そろそろ悟浄が帰ってくる頃だろう。
三蔵も時間になれば降りてくる。
彼らにもおいしく食べてもらうためにがんばらねば。
そして、今日の主役に言葉を贈ろう。
「おたんじょうび、おめでとう!」と・・・

FIN

2000 04/06 written by ZIN
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