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見送るのはいつも背中(傲潤)


「おい・・・挨拶無しとは、ずいぶんだな」
傲潤は隣を通り過ぎようとした天蓬に声をかけた。
「ああ、すみません、傲潤。ちょっと悟空に気を取られていたもので」
その言葉に険悪な雰囲気を漂わせていた傲潤の顔がほころぶ。
「なんだ?そのガキは・・・あ、例の金目の子供というのは・・・」
しばし、のぞき込む傲潤の顔が怖いのか、一瞬無遠慮な悟空もたじろぐ。
「ん?天ちゃん。この人何?」
「ごくう、人を指さすものじゃありませんよ。この人は傲潤。僕の古くから
の友人です」
にっこり笑う天蓬の顔が、捲簾に向けたものとは種類が違うことを悟空は瞬
時に悟ったが、その違いが何を意味するものかを解らなかったので、悟空は
あえて解らないことを話題に出すのはやめた。
「ふぅん・・・」
しばし、もう一度今度は悟空が傲潤の顔をのぞき込む。
「なんで、肌が人間とちがうの?この人」
その言葉に傲潤はきょとんとした顔をし、天蓬はぷぷっと吹き出した。
「悟空はストレートですネェ」
まだ笑いを抑え切れていない天蓬に、傲潤は納得がいかないといった顔を向
ける。
「いいですか?悟空、この桃源郷には、ずいぶんといろいろな種族の人たち
がいるんです。むしろ、僕たちのような完全に人間に近い種族は、低俗なん
ですよ。傲潤は龍神の種族で、本当は大きな龍の姿をしているんです。でも、
いつもそんな姿をしていたら、お仕事にならないので、普段は妖術で、こう
いう僕たちに近い姿をしているんですよ」
「ふうん・・・・」
多少納得がいかないながらも、悟空はそれを受け入れたようだ。
「ま、いいか・・・」
「それじゃ、悟空、先に捲簾のところに行っていてくれますか?」
「うん、わかった」
「そろそろ、ぐったりしている頃だと思いますから、やさしく戒めを解いて
上げて下さいね」
「は〜い!」
どこまで解っているかはわからないが、とにかく悟空は元気良く捲簾の部屋
の方へと向かっていった。
「相変わらずなのか?」
「ん?何がですか?」
「とぼけるな、例の大将のことに決まっているだろう・・・」
「大丈夫ですよ・・・」
「ん?その傷・・・誰にやられた?」
「あぁ?これですか?これは、先ほどちょっと李塔天のところに直訴しに行
ったら、やられちゃいました♪」
「やれちゃいましたって、おまえなぁ・・・あれほど」
「それはいいっこ無しですよ。好きでやっているんですから、あなたはそん
なに気にしないで下さい」
途中まで言いかけた傲潤の口を綺麗な手のひらでふさぎ、反対の手の人差し
指をたてて、ひょいひょいと振る。
その行動に傲潤の顔は少しだけ赤くなる。
「だからといって・・・」
「それじゃあ、こうしましょう。僕たちが首になったら、傲潤の軍で雇って
下さいな。そうすれば、一生懸命働いて見せますよ」
「冗談でもカンベンしてくれ」
「そう言うと思っていました♪んじゃ、そろそろ行きますね。お元気で」
「おう・・・」
そういって捲簾の部屋へと向かっていく天蓬を見送りながら、傲潤はつぶや
いた。
「お元気で・・・か。俺もできることを始めようかねぇ」
ぐっとのびをして、傲潤も執務にもどっていった。

FIN

2000 09/16 written by ZIN
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