「いよぉ・・ハデにやったようだな」
自室に戻ってきた天蓬に最初にかけられた言葉はこれであった。
「天ちゃん、おかえり〜」
悟空は相変わらず嬉しそうな声を上げる。
「ちゃんと捲簾を解放してくれたんですね、ありがとうございます」
「って、おい、そもそもオマエが指示出したんじゃね〜か!」
「え?そうでしたか?」
しれっと流す。
「ったく、それだけいえれば、十分だな・・・綺麗な顔に傷つけやがって・
・・」
そういって、捲簾が天蓬の頬に手を当てて少し顎をうえに向かせる。
「悟空の前ですよ」
ぼそっという天蓬にさすがの捲簾も脱力する。
「そんなんじゃねーや。人の心配を何だと思ってやがる」
俺の言いたいことはそんなんじゃない、心外だと、その瞳は言っていた。
苦笑しながらも、天蓬はまっすぐに自分のことを心配する捲簾に負担をかけ
たくなかった。
おそらくは李塔天といえど、自分が直接交渉下となれば、階級の問題から、
捲簾の解任を撤回するしかないだろう。
しかし、それ以上に今回の一連の行動で李塔天がどう動くかの方が心配だっ
た。
軍内部のごたごたは自分が処理すればいい。
この直感で動く人にはそのままでいてほしい。
勝手な願いであることは解っていたけれど、天蓬はそう思っていた。
「結局そう言うことなんだよな・・」
またふてくされた。
「俺はそうやって、オマエにあまえちまうんだよ」
「私はそのほうが嬉しいんですけど」
「え〜、なに?天ちゃんに甘えてい〜の?」
悟空は素直に嬉しそうだ。
自分に甘えて言い立場にありながら、対照的な態度をとる二人。
「さすがに・・・なぁ?」
悟空の素直なうれしさの表現に、捲簾は苦笑するしかなかった。
「別にかまいませんよ?」
悟空は天蓬の腰にまとわりつき、抱きつき、捲簾のやりたいようなコトをど
んどん実行する。
子供の特権である。
「ちっ、俺にはできねぇよ」
「・・・二人の時にしますか?」
「・・・・・・っ!!!」
そんな台詞で真っ赤になる捲簾は可愛いと思う。
そして自分も甘えたいのだ。
このまっすぐな男に・・・
FIN
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