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まよい(金禅)


「気にいらねぇ・・・」
金禅は自室で相変わらず面白くもない印鑑を押しながら、つぶやいた。
悟空は天蓬のところへ遊びに出かけたまま戻らない。
その天蓬は自分の知らないところでいろいろと動いているようだ。
最近は懇意にしていいるとはいえ、自分とはそんなに仲のいいわけではない
天蓬のことがなぜこんなに気になるのか、自分でも解らないでいた。
「ちっ・・・」
乱暴に印鑑を押していると、執務室の扉が開く。
「いよぉ、元気でやっとるかね?」
「じじ臭い言い回しでご登場だな・・」
観世音菩薩である。
「ご挨拶だネェ・・・せっかく面白い話を持ってきたというのに」
くっくっくと、のどの奥で笑い、ドアにもたれかかったまま、話を続ける。
「・・・どうせロクなことじゃないだろう。さっさと用件だけすませたら、
出ていってくれ」
その言葉に、小さなため息をつき、少しだけ間をおいてから、本当に用件の
みを話す。
「奴らはすでに独自に動いているぞ。オマエはこのままでいいのか?」
「・・・?」
「この意味が分かるまで、もう少し、ここでの仕事が必要だな、じゃました
な」
ばたんと少し乱暴にドアが閉まり、また執務室に一定の静寂が訪れる。
「意味を理解する?」
目の前の書類の山を見つめたまま、しばし金禅の動きが止まる。
「俺の気持ち次第と言うことか?」
自分への問いを言葉にしてみたところで、答えてくれる存在はココには誰も
いない。
書類を見つめ、壁を見つめ、天井を見つめる。
それでも何も解決しない。
やつらは・・・
悟空は・・・
捲簾は・・・
天蓬は・・・

そして、自分は・・・
一体何をしている?
何を目的に生きている?

煙草に灯をともし、しばらく紫煙を見つめる。

長くなった灰を皿におとし、灯を消す。
そしてまた無感動な仕事に戻る。
自分にはまだ時間が必要だ。
考える時間が・・・
この作業は同時に考える時間を与えてくれる。
考えよう、自分の意味を。
菩薩の言った意味を・・・

そして、数時間後、金禅は結論を導き出すことになる。

FIN

2000 09/18 written by ZIN
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