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「結構進んでいるようだな」 「えぇ、まぁなんとかですが・・・」 悟浄の声に八戒が振り向く。 あの先の見えない旅が終了してから1年。 供に闘った相手はすでにその後の人生を歩んでいた。 悟空は三蔵と供に居ることを望んだが、三蔵はそれを拒み、悟空は再び旅へと出た。 三蔵は不本意ながらも別の道で、説法の旅へと出たようだ。 八戒は、悟浄と供に定住の道を選んだが、趣味の知識が高じて、自分たちの旅を記した物語を書いている。 題名は「最遊記」 その言葉に、いささかの笑みを禁じ得ないが、自分たちがもっとも輝いた時間として、この題名は非常に体を表していると言えよう。 雑誌というメディアにこの物語を載せたところ、非常に反響があり、単行本もすでに発刊が決まっている。 そう、八戒は著者としての道を歩み始めたのであった。 悟浄はと言えば、相も変わらず適当な酒場を見つけては賭博に興じる毎日。 特に変わりもなく、また停滞もなく。 自分には、結局コレしかないのだと、楽しんで生きるしかないのだと考え直したようだ。 バタン!! 悟浄が八戒の仕事のじゃまをしようとのぞき込んだところで、玄関が激しい音を立てて開けられる。 「悟浄さん!!妖怪がまた現れやがった!!今度は北の森、湖の西側だそうだ!」 「・・・あぁあ・・・またかよ・・・」 悟浄はその賭博の傍ら、街の警護団体の長も兼ねていた。 西へ向かい、天竺への旅を全うした彼らであったが、実際には何も変わっていなかった。 相変わらず妖怪の暴走は適度に発生し、一般的な人間は前ほどではないにしろ、おびえて暮らすことが無くなったわけではなかった。 妖怪の原因となった牛魔王の蘇生。 それ自体は阻止したのであったが、すでに世界はその妖気を止めるすべはなく、妖怪の暴走を日常茶飯事として受け止めるしかない状況となっていた。 すさんだ世界・・ そう言ってしまえば非常に簡単であるが、逆に八戒や悟浄のように、正義にあふれる存在の意義もそこにあると言えた。 「八戒、行くか?」 「えぇ、コレばっかりはしかたないですよね。街の人たちにはいつもお世話になっていますし」 「よっしゃ。着替えてくっから、オマエも用意して待ってな」 「はい」 悟浄は自分の部屋に行くと、いつもの作業ズボンにベストという戦闘用の服に着替え直した。 自宅にいるときはスラックスにハーフトレーナーとラフな格好であるが、やはり、悟浄と言えばこのスタイルだろう。 「ぅおい、用意できたか?」 「えぇ、ちょっと久しぶりなんで、へんな気分ですね」 「やっぱし見慣れたとはいえ、久しぶりにその格好を見ると、昔を思い出すな」 「そんなに昔というわけでもないんですけどね。たった1年前なんですから」 「そうだな・・・さてと、街のみなさんがお待ちかねだ。とっとと片づけてこようぜ」 「そうですね」 ドアを開けると非常にまぶしかった。 夏の日差しは焼けるように暑く、悟浄と八戒を照らした。 「ちっ、ムカつく熱さだな」 「さっさと片づけて、冷たいものでも飲みましょう」 「そうだな」 二人は街の人の案内に従い、その妖怪の出たという森へ向かった。 to be continued |
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