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Rain(合同誌掲載分)

サァーーーーーー
「あ、降り出してしまいましたね・・」
ここしばらく晴れていたせいか、雨はものすごく久しぶりに感じる。
ずっと忙しかったせいもあって、誇りがたまり始めているのが気になりつつあったから、
片づけようとした矢先に振られてしまった。
せっかく布団も干したかったのに・・・
少し窓の外の雨を見つめていたら、せっかくのお茶が冷めてしまったようだ。
入れ直しながら、すでに落ち着いて雨を見ることができるようになっている自分に気づ
く。
「ようやく落ち着いてきたのでしょうか?」
自問自答してみる。
この家にやっかいになって、約3ヶ月・・・正確には6ヶ月、半年になるのか。
三蔵や悟空に初めてあってから3ヶ月。
早いものだ・・・
あの人は今日もどこかの賭博場で適当に稼いでいるのだろうか・・・
僕の心の支えになってくれているあの人は。

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KOKUHAKU(個人誌掲載分)

「あなたのことが好きなんです」
突然の八戒の言葉に悟浄はさすがに驚いた。
しかし、その真剣な眼差しはその言葉が冗談や、適当な気持ちから発せられたものでは
ないことを悟浄は感じ取っていた。
遊びとはいえ、数え切れないほどの女とつきあってきた悟浄である。
本気と社交辞令の区別はその雰囲気で十分に察しがつく。
「何を今更・・・」
そのあまりにもまっすぐな気持ちを乗せた視線に耐えきれなくなり、目をそらしながら、
煙草に火を付け、話を少しでも軽い方へと導こうとする。
「はぐらかさないでください。僕は真剣なんです」
いつも通り夜は適当な女の上になり、下になり、ぬくもりを楽しんできた悟浄は明け方
に自宅へと戻り、これまたいつも通りに帰ってくるなりベッドに潜り込んだ。
一人暮らしの時は朝まで女のベッドで過ごした方が多かったが、最近は八戒がベッドを
綺麗にしてくれているため、下手なうっとおしさよりもまっさらなベッドを求めて早め
に帰ってくることも多くなっていた。
そんな矢先のこの言葉である。

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背比べ(個人誌掲載分)

「へぇ・・・そうだったんですか」
久しぶりに悟浄の身の上話を聞くことになった八戒は、悟浄の話に素直に耳を傾けて
いた。
なぜ、こんな展開になったかというと、慈燕(今は独角)の関連で旬麗を救ったとき
に八戒が、「怒りますよ」と言ったからであった。
今までの経緯から考えて秘密にしておくのは得策でないと考えたのであろう、ようや
く自分と腹違いの兄との関係を話し始めたのだ。
もっとも、話すまでに例の事件があってからすでに10日以上経ち、酒の勢いに乗っ
ての話し始めではあったが・・・。
自分が妖怪の父親と人間の母親の間に生まれたこと。
愛人という立場に疲れて母親が亡くなったこと。
身寄りの無くなった自分を兄が引き取ってくれたこと。
本妻が自分に対して非常に辛く当たったこと。
それを救ってくれたのも、兄であったこと。
兄と母親の関係。
たばこを覚えた時。
意外にも悟浄は自分の細かいことを事細かに覚えていた。
普段はゴミの日の事すら覚えないくせに。
辛いことは覚えないように体が自動的に拒否してしまうのだろうか?
それともつまらないことを覚える余裕はすでになくなってしまったのだろうか?
それでも、ぽつりぽつりとではあるが、自分のすべてを悟浄はさらけ出してくれた。
近いうちに自分もきちんと話さないといけないだろう。
こんなにも自分を信用してくれたのだから。

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2000 05/02 written by ZIN
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