ベッドの傍らで(八戒&三蔵&悟浄)





「多少の傷は残ると思いますが、これでたぶん大丈夫でしょう」
砂漠でサソリ使いのレンリーにおそわれた地点からジープに乗って町まで戻ったそうそう、八
戒は悟浄に三蔵の手当を任された。
さすがに自分の治療は気功法を学んでいたおかげで、だいぶ済んでいたので、三蔵の容態をみ
ることも可能であった。
自分としては、悟浄の方を先に見たかったが、悟浄の「俺は猿の相手をしているからよ」のひ
とことで、「大丈夫だから、心配するな」と言われた八戒は素直に三蔵の手当をすることにし
たのだ。
お湯の入った桶を用意してもらった八戒は早速傷口に押し当て、気の流れを使って、毒をすい
だし、まずこれ以上三蔵の体がむしばまれるのを止めた。
ただ、思わず口にでてしまったように、すぐに傷の手当をしなかったため、さすがに今回の傷
は残ってしまいそうだった。
「後のことたのむな」
そういわれたのに、なにもできなかった。
正確には妖力制御装置をつけたまま、金冠をはずした悟空と渡り合っているのだから、称賛に
値するのだが、八戒は自分のふがいなさに自ら憤りを感じていた。
なにもできなかった。
その言葉は八戒にとって特別な意味を持つ。
実の姉をなにもできなくて失った八戒は2度とそういうことがないように妖怪になり、修行を
積み、強くなったはずだったのだ。
それでもなにもできない。
今回の戦いでの教訓は己の未熟さを改めて感じたということであった。
「まだまだ修行が足らないと言うことでしょうか・・・あなたには遠く及ばないのでしょうね」
八戒は、ベッドに横たわり、静かに寝息を立てている三蔵の頬をなでるようにした。
少しだけ、顔を背ける仕草をした後に、逆にその手にすり寄ってきた三蔵に八戒は苦笑した。
「そんなに魅力的な仕草をしないでくださいよ。困ってしまうじゃないですか・・・」
しばしベッドに横たわる三蔵を見つめた後、特に苦しむ様子がないことを確認してから、八戒
はその部屋を後にした。
「どうしたん?そんなに煮詰まった顔しちゃって?」
ずっと待っていたのか、部屋からでてきたとたん、廊下で煙草をくゆらせている悟浄に声をか
けられた。
「ええ、結局同じ事の繰り返しになってしまったような気がして」
「おまえは十分進歩してるって。ただ、あまりにも強大な力を前にしているから、その進歩に
気がついていないだけさ。もうちょっと自分に自信を持ってもいいと思うぜ」
「ありがとう悟浄、少し休ませてもらいますね。悟空は?」
「お部屋でおねんね」
「わかりました。私も少し寝かせていただきますね」
「添い寝してやろうか?」
「あなたのこの傷が治ったら、お願いしますよ」
八戒は軽く悟浄の肋骨をこずくと、自分の部屋へと戻っていった。
「いてて・・結構大丈夫そうだな。さぁて、俺もさっさと治して、復活しておかねぇとな」
悟浄も自分の部屋へと戻っていった。

強く強く・・どこまでもずっと・・・

FIN







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