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天界での想い(傲潤&天蓬)


「あの男とは関わり合いになるな」
その男は久しぶりにあったにもかかわらず、問答無用で部屋に押し掛けてき
た上に、出し抜けにそう言い放った。
「あいかわらず唐突ですねぇ、傲潤・・・それはもう、無理なことなんです
よ」
その言葉に傲潤は肩をすくめ、手近ないすに腰を下ろした。
「なんでやつなんだ?」
「それはもう、あなたには話しているはずです。この天界の情勢、明らかな
天帝の力の落ちかた。李氏一族の台頭、今動かなければ、この天界は危うい
のです」
「しかし・・・」
「解って下さい、これも天界のため・・・」
傲潤はおもむろに立ち上がると、天蓬に近付く。
そしてじっと目を見たあと、言葉を紡いだ。
「違うな・・・」
「・・・?」
その反応に大きなため息をつき、傲潤は本人が意識していない感情を説明す
る。
「もうすでに天界のためではないと言うことだ。おまえはやつに傾倒し始め
ている」
「そんなことはありません!これはすべて天界のために・・・」
傲潤はその答えに無言で天蓬の頬を両手で挟み、唇を重ねようとする。
「っ!」
その行為に天蓬は顔を背ける。
かつてはごく自然に交わされた挨拶にも等しい行為であったのに。
「ほらな・・・そう言うことだ。やつの言葉を借りるのであれば、『体は正
直だな』とでもいうんだろうが・・・」
自嘲気味にそう言って天蓬から離れる傲潤の背中は寂しそうに見えた。
「そんな・・」
唇に手を当て、かつてはそうされた相手を拒んだ自分を考える。
すでに形式だけと思っていた捲簾との行為は自分の中で別の意味を持ってし
まっていたのだ。
そう、形だけのつもりが本当の好意へと変革をとげ始めていたのである。
「聡明な天蓬元帥さまでも、自分の気持ちには気がつかなかったようだな」
「・・・いつから?」
「簡単なことだ。おまえが今回の計画のよりどころとして、やつを選んだと
きからすでに結果は見えていた。やつを見るおまえの目は他が見えない連中
の目と同じだったからな」
天蓬の視線は自分の机を見つめたままだ。
「別にそれがマズイ事だとは言わない。ただ・・・」
「ただ?」
天蓬は、言いよどんだ傲潤の顔を見上げる。
「おまえがやつに惹かれていくのを、俺が、納得できないだけだ」
肌が人間とは多少違うため、その色の違いによって感情を見ることはできな
いが、おそらくは普通の人間であれば、真っ赤になって言った台詞なのだろ
う。
しかし、天蓬は気がつかない振りをした。
自分の気持ちを知ってしまい、なおかつ教えた張本人からの告白であるが、
それに答えるわけにはいかない。
それはすでに決めたことなのだから。
目的を成就させる。
そのために、傲潤と別れ、捲簾と組み、李氏にたてついた。
後戻りはできないのだ。
傲潤の言葉に応えることは簡単だ。
捲簾を見放せばいい。
巻き込まれていただけだと言えば、簡単に許されるだろう。
天蓬の知識は天界も手放したくはないのだから。
だが、それではダメなのだ。
「やはり、無理な話です・・・」
天蓬は、やっとのことで、それだけを言った。
「・・・そうか・・・わかった。だが、俺は常におまえの味方であることを
忘れるな。使うところは遠慮するなよ」
そう言うと、傲潤は無言の天蓬をのこして外へと出ていった。
「巻き込めるわけ無いじゃないですか・・・傲潤」
つぶやきながら、天蓬は無理矢理上を向いて目頭を押さえた。

FIN

2000 08/27 written by ZIN
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