1994-2002 MEGA-Company Co.Ltd ALL Right Reserved |
「ん?」 ぱちぱちとたき火の音が耳元で聞こえ、八戒は目を覚ました。 大きな炎の向こうに悟浄の赤い髪の毛がゆらめいているのが見える。 起きあがろうとすると、少し頭が痛む。 自分はどうしてここで寝ているのだろうか・・・ ぼうっとした頭ですこしだけ整理すると、自分が・・・いや、自分たちがどんな状況にあったのかを思い出した。 「悟浄?!」 はっとした表情で悟浄をみると、誰かと話をしているようだ。 その雰囲気からは相手は敵ではないと思われる。 「ぉう!目が覚めたようだな。このにーちゃんが助けてくれなかったら、俺たちはこの雪山で凍死してたかもな」 わっはっはと悟浄はいつもの調子で笑うが、それどころではない。 まぁ、ある意味いつも通りなのでほっとしてもいるのだが。 「それで、そちらさんは?」 怪訝な顔をしつつも八戒は自分たちの仲間以外の存在の確認を求める。 「あぁ、耶雲・・・だっけか?」 悟浄がひょいと顔をむける。 細面の顔だが、体はがっしりとしているようだ。 なんとなく雰囲気が独角ににている。 悟浄がそんなに警戒していないのも、そんな雰囲気からだろうか。 「いやー、大変だったんだぜ。おまえら運ぶの」 「え?悟浄が運んでくれたんですか?」 「んあ?まぁ、こいつと俺の二人だがな」 「あぁ、それはどうもすみません・・・重かったのでは?」 「いや、俺は山生活が長いから、そんなに大変じゃなかった。それよりもこいつが一番しんどそうだったぜ。まぁ、お前さんだけは自分が運ぶってゆずらなかったんだけどな」 そういって、耶雲はにやりと悟浄をみやる。 「けっ!八戒に死なれると、こいつらの面倒をみるやつがいなくなるから、まず八戒を助けただけだっての!」 そういって、悟浄は懐からたばこを取り出し、火をつけようとするが、しけっているようでうまく火がつかない。 「まぁまぁ、そう照れなさんなって。別にお前たちの関係をどうこういうつもりはねぇが、こんな山奥になんの用があって入ってきたんだ?まぁ、話を聞く限りではうちのガキどもが手間かけさせたみたいだが・・・」 「いえ、僕たちも勝手に入ってきたのは確かですから、申し訳ないとは思っています。しかし、あの警戒の仕方は尋常ではないのでは?」 「そうそう!いきなり襲ってくるとはなー。しかもこーんなちっけぇガキがだぜ?!俺たちだってがきんちょ相手にいきなり殺戮するのはなぁ」 そういって、悟浄は肩をすくめてみせた。 「いや、殺さないでくれて助かった。その辺は感謝している。もう少し分別がつくといいのだが、いかんせんあの年齢だからな。妖怪とはいえ、子供は子供。さほど人間の子供の反応とかわらんよ」 「ん?やはり、妖怪の子供でしたか・・・まぁ、深いことはお聞きしませんが、この人が起きたら、それなりの説明を求められるでしょうね」 すっと、横たわっている三蔵を指さす。 「あぁ、寝ている間もずっと気むずかしい顔をしたままだからな。結構気苦労の多い坊さんなんだろう」 「はぁ?この生臭坊主が気苦労が絶えない?いつもどんぱちやり放題なくせに気苦労が多いなんていわれたら、俺はもうはげになってるよ!」 「まぁ、その人にはその人なりの苦労ってのがあるからな。お前さんたちだって、人にいえない苦労があるんだろ?」 「そりゃ、あるけどよぉ」 「その辺は、それこそ人それぞれですよね」 八戒がにっこりとほほえむと耶雲は黙ってうなずいた。 この話はこれまでのようだ。 パチパチとたき火とスープの鍋が音を立てる 「・・・?」 三蔵の目が細く開けられる。 ジャキ! 様子をのぞき込んだ耶雲の胸元をつかみ、三蔵が即座に臨戦態勢に入る。 「・・・へぇ。素早いな」 いきなり銃を突きつけられても特に態度を変えずに耶雲がつぶやく。 「何者だ?貴様」 その態度に顔をしかめながらも三蔵は臨戦態勢を解かない。 ようやく三蔵が目覚めたようだ。 |
Produced By MEGA-Company. |