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相方の絆(悟浄)


「悟浄は、ボクのことを裏切りますか?」
昨日からその言葉が耳についてはなれない。
あいにくの雨。
外にでる気も自然に失せる。
ベッドにねっ転がったまま、買い置きの雑誌をパラパラとめくってみるが、大した
内容はない。
いつも買っているから買った。
そんなところだ。
昨日は仕事・・・とは言っても行きつけの飲み屋でテキトウに賭カードをやっただ
けだが・・・をやった後に家に帰ってくると八戒の様子が少し変だった。
いや、まぁいつも変だと言えばそうなのかもしれないが、昨日は何かがいつもと違
っていた。
ふるえている・・・というよりは・・そう、おびえていると言った感じが一番適切
だったろう。
少し落ち着いてから聞いてみると、見ていた深夜のドラマが、親友が裏切るという
内容だったらしい。
それも、お互いに行く当てが無くなってどうしようもなくなった二人が肩を寄せ合
って生活していたのに、いつのまにかお互いを憎み合い、すれ違いが重なり合って
ついにはお互いの命を狙い合うという内容だったらしい。
ついでに最後はお互い死を迎える直前になんとか誤解を解くことができたが、その
まま死んでしまうと言う話だったそうだ。
・・・
考えてみると確かに俺達の関係と似たようなものかもしれないな。
まぁ、それが短絡的に俺が八戒を裏切るという話につながると言うのはあまりにも
直結しすぎだとは思うが。
八戒と俺は所詮他人でしかない。
それはお互いに認識している話だと思っていた。
いや、心の中では自分でもいつのまにか自然に隣にいる自分の相方を自分と同じぐ
らいの存在に考えてしまっていたのかもしれない。
『なんじの隣人を愛せよ』とはよく言ったモンだ。
自分とこんなに近くの人間を完全に信用できるかどうかにも疑問を持ってしまうと
言うのに、どうして赤の他人を愛せよう。
それは無条件な奉仕的愛なのかもしれないなと、ふと思う。
天井を見つめても八戒のあのおびえた顔が目に浮かぶ。
アイツが女だったら、一晩中抱きしめて安心させてやることもできたが、いかんせ
ん男だ。
確かにその辺を気にしないと言う話しもなきにしもあらずだが、そこまで俺も苦労
している分けじゃねぇ。
それでも相方に「裏切る可能性があるか?」と聞かれるのは結構しんどいものがあ
ったな。
裏切るかどうかは問題ではなくて、『裏切る可能性が有る』と思われていることが
ショックだった。
俺はそんなことを考えたことはなかったから。
八戒がずっと俺の側にいると思っていたから。
力関係や、お互いの過去の話なんてどうでも良くて、そんなのは何でもなくて、お
互いを分かっていたと思っていたからなぁ。
それだけ俺の認識が甘かったと言うことなのか?
俺は未だに人を信用していることがいけないのか。
不変なものが無いなんて事は充分解っている。
人の気持ちはどんどん変わっていくものだ。
でも・・・
変わらないものがあったっていいじゃねぇか。
俺はそれをまだ信じたい。
明日起きたらいつもと変わらない挨拶をしてやろう。
いつもと変わらないことを教えてやる。
俺は裏切らないことを教えてやる。

そして・・・

FIN

2001 03/17 written by ZIN
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