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この空を見上げる赤


強く強く。
そう思ったのはいつからだろう。
花喃を意識し始めたころだろうか。
この女(ひと)を護らねばと思ったときからだろうか。
この女(ひと)が愛しいと思ったときからだろうか。
失ってから気がついた。
いや、失う前から気がついていたんだ。
だけど、自分でそれを認めてしまうことはいけないことだと。
世間が、みんなが、常識が、倫理が。
と、勝手な理由をつけていた。
大切だと思う気持ちに嘘なんてないのに。
強く強く思うことだけでなんとかなると思っていた。
強く。
そう、強く思うことで、自分が強い存在だと信じ込もうと考えていた。
それだけではだめだったのに。
決してそれだけでは足りないこともわかっていたはずなのに。
失ってから。
それは強く認識してしまうことだということすらわかっていたはずなのに。
自分はなんで強くなれなかったのだろう。
失ってから強くなってもしかたないのに。
それは自分が一番わかっていたはずなのに。
それでも。
自分がその道を進んでしまった。
花喃を失ってしまった。
存在を失ってしまうことはすごくつらいことだとわかっていたはず。
それなのに。
強く強く思って。
強く強く愛しいと思って。
強く強く護ると。
あの女(ひと)に言っていたはずなのに。
信じてくれていたのに。
自分は護れなかった。
失ったからこそ強くなれた。
失わなければ強くなれなかった。
永遠に続く道のはずだったのに。
それがとてももろいものだとわかっていたのに。
自分で踏み外すことを自分で体験しなければ。
それは自分の強さとならないのだろうか。
永遠。
それは一瞬できまってしまうのかもしれない。
奥歯をかみしめたその瞬間を自分は決して忘れない。
忘れてはいけないと思う。
その先にあるものを見つめ続けることで、
花喃、貴女の力を僕にもわけてもらえるだろうか。
守れなかった僕はこんなことを言うのはすごくわがままなんだけど。
それだけが僕の望みだから。
貴女と一緒にその先をみつめていたいから。
この今隣にいる赤と一緒にすすんで行きたいから。
花喃。
僕は次にすすんでも・・・

・・・いいよね?


2002 07/16 written by ZIN
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