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時は流れないそれは積み重なる(三蔵)

永遠なんて信じない。
今ここにあるだけが俺のすべてだ。

物心着いた頃にはすでに寺の人間として扱われ、自分の師匠がたまたま「三蔵」という称号
を持っていたために俺は自然とその付属物として、一目置かれる存在だった。
師匠は俺に優しかったし、厳しいところも、俺を思ってくれてのことだろう。
そんなことはわかっていたし、理不尽につらく当たる事なんて無かった。
「三蔵様のお弟子さんだから」
「紅流の師匠は三蔵様だから、髪の毛を丸めなくてもいいんだ」
そんな言葉は聞き飽きた。
言いたいやつにはずっと言わせておけばいいし、そんなことを言っているうちは俺の障害に
はならない。
ただ・・・俺の前には師匠が常にあり、その背中を越える事なんてできなかった。
俺は師匠を目標とするとともに師匠を超えることが、最大の恩返しだと思っていた。
だが、師匠は永遠に越えることができない存在になってしまった。
形ある物は皆崩れる。
命ある物はいつか死ぬ。
そんなことはわかっていたけれど、あまりにも師匠はまぶしすぎて、絶対に変わらないもの
だと思っていた。
それはとても永遠に思えて
それはとても遠くの存在に思えて
少なくとも自分がその近くに行くまでは師匠はずっと存在し続けるものだと思っていた。
それがあっさりと目の前で死んでしまった。
師匠がなにか足りなかったわけではない。
だが・・・
認識しなければならない。
師匠は人間であったことを。
俺も人間であることを。
それはとても忘れがちなことで
それはとても気にしなければならないことで
たとえ人間でなくともそれはほんの少しだけ猶予があるだけ。
悠久の時の中で人間の生命なんてあっと言う間で
妖怪の生命なんてあっと言う間で
過ぎ去っていく時間の流れはあまりにも速すぎる。
それでも
人間にとって
妖怪にとって
いきとしいけるものにとって
時は過ぎ去らない
それは積み重なるものだと信じたい。
悠久の時間の中を生きる自分の決めた道が、きちんと積み重なっていると信じたい。
師匠を超えることはできなかったが、それは永遠に越えることができなかっただろう。
師匠は師匠の道を進んでいて、俺は俺の道を進んでいたのだから。
ほんの少しの間、師匠は俺に道の進み方を教えてくれていただけ。
どの道を進むか、どう進んでいくかは、俺が作り出していかなければいけなかったのだ。
途中で師匠は逝ってしまったけれど、俺は俺の選んだ道を進む。
師匠の目を見てちゃんと話せるように
師匠に胸を張って自分の人生を語れるように
俺は自分の道を進む

コイツラと供に・・・

FIN

2000 04/08 written by ZIN
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