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ヤクシ(八戒&やおね)

「こんにちわ」
「はい、こんにちわ・・・やおねさん?!」
突然の訪問者であったが、あまりにも自然で丁寧な挨拶に八戒は思わず普通に答えてしまった
が、やおねは窓に片足をかけ、さんに片手をかけた状態であった。
「ちょっとかくまっていただけませんか?」
いつもと変わらない物腰であるが、真剣な眼差しから、ただごとではないことを感じ取り、八
戒は無言でうなずき、やおねを部屋に入れるとさっさと窓を閉め、カーテンを引く。
「ありがとうございます。1日だけでいいので、ここにいさせていただけませんか?」
「それは別にかまわないですけど、いったいどうしたんですか?」
それでも心配なのか、しばらくカーテンの隙間から外をうかがっていたやおねはようやく外に
自分を追ってきていたと思われる相手の気配がないことを確認すると、八戒の方に向き直り、
改めてお辞儀をする。
「本当に申し訳ありません。私たちの城で最近玉面公主様のお気に入りの薬師で爆薬に長けた
者がおりまして、その男がどうやら私に興味を持ったらしいのです。飽きっぽい性格なので、
数日もすれば興味すらなくなると思うのですが、興味を持っている間は執拗なぐらいに追いか
け回すので、ほとほと困り果てていたのです。今日はあまり行動がないと思って油断した矢先
に表に出た瞬間をねらわれてしまったので、近くに八戒さん達が泊まっていることを思い出し
まして、おじゃました次第です」
「・・・あなた達も大変ですねぇ」
あまりにも唐突な登場と、お粗末に感じる内情を察しながらも八戒はそれだけ言うのがやっと
であった。
「それで、どうして爆薬系の方があなたに興味を持つのですか?」
「ええ、それなんですけど、私は基本的に一般的に薬と呼ばれるもの全般を網羅しているので
すが、その中でも得意とするのが”麻薬系”なんです」
ひくっと八戒の顔が引きつった。
思わず笑いも乾いたものになる。
「いえいえ、私が使うのではなく、攻撃や、補助系として使うだけですから、ご心配なく」
八戒はその言葉を聞いてほっとする。
この人が薬漬けになったところなど見たくないものだと八戒は敵味方を越えて本当に感じた。
「さすがにびっくりしました。それで?」
「どうやら、爆薬以外に麻薬にも最近関心を持ち始めて、研究を始める際に私の知識を利用し
ようとしているみたいなんです」
「別に教えて差し上げればいいじゃないですか。取って食おうとするわけではないでしょうに」
「・・・」
「ひょっとして取って食われるとか?」
冗談のつもりで言った八戒であったが、やおねの表情を見るとあながちはずれでもないようだ。
「本当なんですか?」
「取って食われると言うのとはちょっと違うのですが、詳しい本人を薬漬けにするのです。本
来麻薬を使う薬師は自分にはいっさい使いません。自分の感覚が鈍くなれば、それだけ効果が
薄くなりますからね。それをあの男は学んだ知識を直接その相手を実験台にして試すんです。
多少なりとも知識のある麻薬師は一通り廃人同様にされてしまいました。おかげで今我々の城
は対応に追われて大変なことになっています。お恥ずかしい限りのおはなしなんですが」
「それで、しばらく身を潜めたいと言うことなんですね」
「そうなんです。お願いできますか?」
「いいですよ。ちょうど良いことに、他の人たちは明日いっぱい帰ってこないことですし、ゆ
っくりしていったらいいと思いますよ。僕も一人で暇を持て余していたことですし、こないだ
教えてもらい損ねた紅茶の入れ方を教えていただけると嬉しいのですが」
「そんなことで良かったら、いくらでも!ありがとうございます。ご厄介になります」
「はい、こちらこそ、よろしくです」
丁寧な挨拶を交わす二人の間には敵同士という意識は全くなく、終始和やかな雰囲気をかもし
出していた。

FIN


2000 03/23 written by ZIN
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