やおねのお店2:中編(やおね&八戒)




「やはり、深い傷なのですね」
言って、やおねは八戒の腹部に頬を当てる。
「これだけの傷、つらかったでしょうに・・・」
一通りの手当を終えると、やおねは再び八戒に服を着せ、やわらかい毛布を掛けて、お湯を用
意するために厨房へと戻った。
「それにしても、八戒さんがあんなにけがをするということは、ほかの人たちは大丈夫だった
のかしら?」
しゅんしゅんと、誰もいない厨房でやかんの水がお湯に変わる音だけが響く。
昼間の喧噪とはほど遠い、町が夕日に染まる時間・・・
窓から見える景色はその真っ赤な町もそろそろ闇に覆われ始める時間である。
かたん・・・
誰もいないはずの店内に音が響き、やおねは思わずびくっとした。
振り向くと、厨房の入り口に八戒が相変わらずの力無い笑顔でドアの柱に寄りかかる形でたっ
ていた。
「いやぁ、スミマセン、なんか、いろいろご迷惑おかけしちゃいまして」
顔は笑おうとしているのだが、やおねが診たにも関わらず、重傷だと思ったほどである。
寄りかかる背もずるずると、力無く崩れ、引きつった笑顔がむしろ戦闘の壮絶さを物語ってい
た。
「まだ、立ち上がっちゃダメです!」
今にも崩れ落ちそうな八戒に、急いでかけより、肩を貸して、再びソファーまでつれてゆく。
「立ち上がるにもものすごい大変なんでしょう?いいから、ゆっくり休んでいてください」
今度はとりあえず座らせて、だだをこねる子供に対するような口調でやおねは八戒に静養する
ように諭す。
「いや、あまりご迷惑をおかけするわけにも行きませんからねぇ」
口振りは、もっともらしいことを言ってみるが、所詮はけが人の言うたわごと、やおねは鼻に
もかけない。
「はいはい、よけいなことは考えないでとっとと寝ていてください。いいかげんに私も怒りま
すよ。手当をしてもらって、悪いと思うんだったら、速く休んで、回復してください!」
ごもっともな言葉をやおねからまっすぐに聞いてしまい、八戒は何も言い返せない。


to be ...







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