やおねのお店2:後編(やおね&八戒)




「一番近くがここだったので、よらせていただいたのですが、やっぱりご迷惑じゃないですか、
のんびり寝ているわけにもいきませんからね」
少しの間だけ、眼を泳がせたが、結局八戒はまた立ち上がろうとする。
それでも帰ろうとするのだ。この男は・・・
「仕方ありませんね」
「・・・は?」
やおねが八戒の首筋を軽くなでる。
少しだけやおねを見下ろし、その手をつかもうとして、八戒は今度は体の具合がどうとかとい
うわけではなく崩れ落ちる。
「あ・・れ?・・・体の・・ちからが・・」
すとんとソファーに腰を落とし、そのままやおねに導かれるように背をクッションに埋める。
顔を近づけ、やおねは八戒にこう囁く。
「あんまりだだをこねるから、こういうことになるんですよ」
「あ・・くすりを・・はぁ・・うっ」
うまくしゃべれないのか、八戒の言葉はもだえているようにも聞こえる。
「ふふ・・色っぽいですね」
少しだけやおねの顔に妖艶なほほえみが走る。
ソファーに埋まってしまった八戒の額から耳元へ髪をなで、軽く首筋まで指をはわせる。
「うぅん・・」
すでにまどろみに入っている八戒にはやおねの行動は遙か昔の姉の幻想を抱かせた。
八戒が静かな寝息を立て始めた頃、ようやくやおねは安心して、ソファーから、腰を上げた。
「たまには何の心配もせずにゆっくりお休みになってくださいね。三蔵さんたちにはご連絡し
ておきますので」
八戒はすでに熟睡状態であった。
「それにしても・・・綺麗な寝顔・・襲ってしまいたいくらい。あ、あら、わたし、何を言っ
ているのかしら?私は紅該児サマただ一人と心に決めたのに・・・」
そう言いながらももう一度八戒の眠るソファーに座る。
「ちょっとだけ・・・ごめんなさい、紅該児サマ・・・」

FIN







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