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川の流れのように(第1話)

「これって、川だよなぁ」
三蔵は目の前に突然広がった大きな流れを目の前にして、隣でハンドルを握る八戒の
顔を見た。
「どっからどう見ても川ですねぇ」
八戒もまんまな答えを思わず返してしまう。
「ん、そういえば・・・」
三蔵一行は順調に西を目指していたのであるが、平原を越えたところに大きな川が開
けてしまったのだ。
ある意味、多少のラフな道はジープで進めるが、さすがに水の中を進んだり、船に変
化することはできない。(仮にジープ自体が水の中に潜ることができたとしても、三
蔵達がそんなに長い間潜っていられるはずもない事は周知の事実である)
そこで、三蔵の意味もない言葉が八戒にかけられたのである。
「ん、そうそう、これだ・・・」
三蔵は長安から持ってきていた荷物の中から、一つ小さな冊子を取り出した。
「何ですか?それは?」
八戒は三蔵が新聞以外を自分の荷物として持つのは珍しいと思い、その題名が気にな
った。
「ん?非常に昔の文献でな、題名は表紙がぼろぼろで読めなかったのだが、本文だけ
が複製されたらしい。仮題として、西方への旅という名が付けられている文献だ」
「へぇ、そんな物があるんですか。ひょっとしてガイドブックか何かなんでしょうか
?」
その冊子を八戒ものぞき込むように見る。
「なになに?なんか面白い本でももっているんか?女がでていりゃそれに越したこと
は無いんだけどな」
悟浄が後ろから八戒のシートの背にもたれかかり、斜めに三蔵の手元の冊子をのぞき
込んで、いつも通りの感覚で言うと、八戒は肩をすくめた。
「けっ、くだらん」
三蔵はそのいつも通りの悟浄にあきれながらも、このどうしようもない状況をいちい
ち深く考えていない悟浄に安心した。
「なになに?なんか、食い物のが載っているの?」
さらに相変わらずな存在が三蔵の後ろからのぞき込むが特に誰も相手にしない。
「ちぇ、つまんねーの。文字ばっかりじゃ、おなかの足しにはならないじゃん」
おおよそ文献の作者が聞いたら、激怒しそうな台詞をはいて、悟空は再び後ろのシー
トに深くどさっと腰掛けると、両手を頭の後ろにくみ、空を見上げた。
日差しも暖かいし、そのまま寝てしまうのだろう。
「相変わらずですねぇ」
八戒の苦笑に皆がうなずく。
「思考回路が単純でいいな。状況もあんましわかってねぇみたいだし」
悟浄の言葉に少しだけむっとした表情を見せた悟空であったが、睡眠欲が勝利したよ
うで、起きあがりもせずにまた目を閉じた。
「で、そのガイドブックがどうしたって?」
再び三蔵の手にしている冊子を悟浄がのぞき込み、話を元に戻す。
「ああ、これはその昔西へ向かったときにどのようなルートを使ってたどり着いたか
が、物語風に書いてある。つまり、だいたいの問題点については解決方法があらかじ
め載っているというわけだ」
「何でそんな便利な物をここまでしまっていたわけ?」
悟浄がもっともな質問を三蔵にぶつけ、八戒もうなずき、その通りだという視線で、
三蔵を見つめる。
「今までは大した問題でも無かったからな。そもそも紅該児一行のメインのメンツが
出てきた以外は大した問題では無かろう。それにしたって、おまえらにとっては紅該
児本人以外は大した敵では無いはずだ」
「以外に信用されているのね。オレたちって」
悟浄は照れからなのか、おどけてみせる。
「調子に乗るな、勝手にくたばったところで俺はたいして気にもしないからな」
「へいへい、そういうことにしておきましょ」
「で、ここの渡り方とかも書いてあったりするんでしょうか?」
八戒がなかなか冊子を開こうとしない三蔵から冊子を受け取る。
「いや、ものすごく昔の文献だからな。そのままの方法が適用できるかどうかはわか
らんが、参考にはなるだろ。ただ、誰かが渡してくれたように書いてあった記憶があ
るが・・・」
三蔵は首を傾げた。
「えっと・・・あ、ここか・・え?」
「どうした?」
三蔵と悟浄の言葉が思わずハモリ、二人は顔を背け合う。
そういうところは相変わらずだな、と失笑しながら、八戒はそのページを二人に見せ
る。
「いやぁ、あまりにも意外ですよ」
「あぁ?」
そこには意外な助け船が出ることが記されていた。

つづく・・・

2000 05/14 written by ZIN
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