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川の流れのように(第3話)

「ぼんやりするのも結構久しぶりだったりします?」
八戒は目を閉じている三蔵に話しかける。
昼も過ぎ、日差しは強いものの、木陰に入っているためにさほど気にならない。
むしろ、柔らかく吹く風が頬に心地よい。
悟空はその気持ちよさに素直に身を任せて寝ているために、昼を過ぎたにもかかわら
ずいつもの「はらへったぁ」の声が聞こえてこないほどである。
「そうだな・・・」
三蔵は目を閉じたまま答える。
やはり、眠っているわけではなさそうだ。
「走り続けるのも必要ですけど、こういうゆっくりした時間を気持ちよく感じること
も必要ですよね」
八戒は木立の隙間から青く澄み切った空を見上げて、視線をはずさずにつぶやく。
「そんな余裕は無いはずだがな」
三蔵も特に姿勢を崩さない。
お互いに独り言に近いようなやりとり。
「それでも、今を感じることは必要でしょう。逆に急ぎすぎることもないでしょうし」
苦笑しながら言ったが、よく考えてみると、三蔵は人間だったことを思いだした。
「あ、すみません・・・」
「かまわん。所詮はそんなものだ。そのときをどう生きたかで、人は本人の価値が決
まる。自分で納得行く生き方をできなければ、急いで生きても、ゆっくり楽しんでも
同じ事だ」
言外に自分が人間であることを配慮された八戒の言葉に三蔵は特によけいな反応を示
さない。
「川・・・どうします?」
八戒は寝っころがっていた体を三蔵の方にむけ、本題に入った。
ジープは木陰に入ったところで、白竜の形に戻っている。
そのジープも悟浄の頭の上の草の上で寝ている。
「ん・・・川沿いに走って船を見つけるのが妥当だろうな。これだけの大きな川だ。
渡し守がないわけはないはずだからな」
「そうですね、それが一番いいですね、やっぱり」
八戒はすなおに同意する。
「どうしますか?すぐに出発します?」
八戒のその言葉に三蔵は薄く目を開けた。
「たまにはぼんやりするのもいいだろう、もう少しこのままでいることにする」
「はい、そうしましょう」
時はゆっくりと流れる・・・

つづく・・・

2000 06/02 written by ZIN
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