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川の流れのように(第5話)

「ふわぁ・・・」
大きなあくびをすると、悟空はう〜〜ん、とのびをした。
どうやら、木陰に入って、自分が一眠りしている間に他のみんなも眠ってしまったら
しい。
三蔵ですら、すぅすぅと寝息を立てている。
ぐぅ・・・
自分の腹が相変わらず食べ物を要求するが、これだけ気持ちよさそうに寝ている奴ら
を起こそうとするのはさすがの悟空も気がとがめた。
自分のバッグの中にお菓子があったことを思い出し、ごそごそと取り出す。
クッキーのセットが丸ごと残っていたのは悟空にとって喜ばしいことだった。
澄み切った青空を景色にゆっくりと味わえる。
めずらしく悟空でさえも見とれるほど、その空は気持ちのいい青であった。
ぱり・・・
いつもはがつがつと食べてしまい、一瞬でなくなるお菓子でも、雰囲気が違うとここ
まで味が違うのだと、今更ながらに感じる。
「はむ・・・」
上半身を起こしたまま、口にクッキーをくわえて、悟空は再び空を見上げた。
「こういうのを平和っていうのかな?」
ぼそっとつぶやいてみる。
毎日が忙しくて考えることが少ない。
目的も達成していない。
ただ・・・
この瞬間はとても幸せだ。
少しだけ寂しいが。
それは、相手をしてくれる人がいないからだろう。
一人の時間も大切なのかもしれないが、一人で石牢の中で500年も過ごしてきた悟
空にとっては静かな時間よりも、むしろ受け答えの相手がいる喧騒の方が嬉しいのだ。
戦いに明け暮れる日々。
その方が自分が存在することを確認できる。
ぼぉっと眺める空は透き通りすぎて、吸い込まれそうだ。
「つまんないな・・・」
クッキーの中身もなくなってしまった。
ごくごくと、水筒の水を飲み、キャップを閉める。
「ぷは・・・」
袖で口を拭い、そよ風に身を任せると心地よい眠気がまた襲ってくる。
「・・・ねよ」
ごろんと再び寝っころがると、悟空はすぐに眠りについた。
幸せなひととき。
静かな時間。
喧騒を好む者にとってはむしろつらい時間なのかもしれない。
それでも時は全員に等しい空間を提供する。
今は眠ろう・・・供に。

つづく・・・

2000 06/17 written by ZIN
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