1994-2000 MEGA-Company Co.Ltd ALL Right Reserved


前へ前へ[07]

PREV
CONTENTS
NEXT


中に入ると、三蔵は相変わらず煙草をくゆらせていた。
窓際のいすに座り、視線は窓の外に向けたまま、特にこちらを向こうともしない。
街の中心に近いと言うこともあり、外の喧騒が中の静けさとくらべ、よけいに不
自然さをかもし出す。
閑散期というわけではないだろうが、なぜかこの宿には人がほとんど泊まってい
ない。
店の人の話によると、妖怪の暴走により、街と街の間を行き来する人が少なくな
り、どこの宿も似たようなものだという。
「静かですね」
「あぁ・・・」
窓が締めたままであるので、外の音はわずかにしか聞こえない。
自然と二人の会話だけが部屋に響く。
「開けるか?」
窓を顎で示し、その処遇を問う。
「いえ・・・かまいません」
「そうか・・・」
三蔵が特に動かないので、自分はベッドに腰掛け、話を始める。
自分のこれまでの存在。
花喃の自分の中での存在推移。
誕生日のこと。
大切にすると言ったのに守れなかった約束。
他の3人に比べて自分の意識の弱さ。
自分が存在していいか不安になったこと。
なによりも自分がこの仲間としていていいのかの疑問。
そして・・・

「夏が過ぎると、必ず思い出すんです。自分の生まれた日を認識することで、自
分の存在価値を考えてしまう」

2000 10/16 written by ZIN
1994-2000 MEGA-Company Co.Ltd ALL Right Reserved

Main Site  ■Circle Site  ■GAME News Site  ■Cyber Drink Site
The Main System Produced By MEGA-Company. Generated from HAZER Operating System.