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コンコン・・・
返事はない。
「悟浄・・・います?」
寝ているかもしれないと、そぉっとドアを開けてみるが、なかの雰囲気に人の気
配はない。
「いないんですか・・・」
悟空と一緒に出かけさせてからほおって置いたのだ。
戻ってきていなくても、八戒に責められる理由はないのだが、今日ばかりはいな
い悟浄のベッドが少しだけにくい。
「はぁ・・・」
大きなため息をついて悟浄のベッドに倒れ込む。
無人のベッドは少しひんやりとして気持ちいい。
「自分で買い物を頼んでおきながら、いないのを責めるのは、僕のエゴでしょう
か?」
ベッドに埋もれながら、くぐもった声で独り言を言ってみる。
しかし誰も答えはしない。
人の部屋で一人でいるのだから、当たり前だと言えば、当たり前であるが。
顔を掛け布団からずらし、窓の外を見る。
太陽はだいぶ傾き、雲に少し隠れた太陽がまぶしく赤い色を染めている。
「ひとり・・・ですね」
少し大きめの部屋に一人でいると、その孤独感がよけいに大きくなる。
人のぬくもりを求めている時は特にそうだ。
ここしばらく孤独感とは離れていたが、自分で疎外感を感じ始めると、どうして
も孤独の感覚を最初に感じてしまう。
「悟浄・・・」
シーツを一人握りしめる。
「呼んだか?」
「?!」
その声にがばっと体を上げると、入り口にいつも通り、めんどくさそうにもたれ
かかる悟浄がいた。
口にくわえた煙草のにおいが部屋の中に入ってくる。
「人のいない間に部屋に入り込むのは感心しねぇなぁ・・・」
つかつかと、部屋に入り、適当ないすに座る。
口調はぶっきらぼうだが、これはいつものことだ。
「すみません」
「その謝りはどっちに対してだ?」
「はい?」
「俺達をのけ者にしたことなのか、それとも、この部屋に無断で入っていたこと
か?ということだよ」
「それは・・・三蔵はちょっと気がついていてくれたので、先に話をしておこう
かと思ったのです」
「俺が気がついていないとでも思ったのか?」
悟浄の口調はいつものそれとは少し違い、非難の色を含んでいた。

2000 11/08 written by ZIN
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