1994-2000 MEGA-Company Co.Ltd ALL Right Reserved


前へ前へ[12]

PREV
CONTENTS
NEXT


がちゃり・・・
誰もいない部屋に扉の開ける音と、鍵を閉める音だけが響く。
結構宿には部屋があるはずなのに、回りの音がしないのは、防音が優秀なのか、それとも客がすくないのか。
「ふぅ・・・」
ギシ・・・とベッドに腰をかけ、ため息を一つ付く。
自分の手を見ても、以前のように血の色が見えたりはしない。
頬に両手を当ててみても、その血の巡りは止まったりはしない。
「生きているんですネェ・・・」
そう、寺の戦いで悟浄の言った台詞を思い出す。
「俺達は生きているんだな、これが・・・だったでしょうか・・・」
また自分の手の平をみる。
そして、窓の外を見やる。
「三蔵は相変わらずだし、悟空は言わずもがな。悟浄は怒らせてしまいましたね」
思わず苦笑する。
「怒らせるつもりはなかったのですが・・・」
そしてすぐに沈む。
そのままベッドに倒れ込み、体を丸めてみる。
自分を抱きしめても、何も始まらないことは解っていた。
蒲団に潜ってみる。
暗い空間の中で自分が一人であることを考える。
「いつも花喃がいてくれたのに・・・」
枕を抱きしめてみても、花喃のかわりにはならない。
「一人・・・ではないのですよね・・・もう・・・」
考えつつ、眠りにまどろむ。
自然と外の明るさと蒲団のなかの暗闇が同じになるころ、八戒は眠りについた。

2000 12/15 written by ZIN
1994-2000 MEGA-Company Co.Ltd ALL Right Reserved

Main Site  ■Circle Site  ■GAME News Site  ■Cyber Drink Site
The Main System Produced By MEGA-Company. Generated from HAZER Operating System.